2007年09月25日
ホールドアップで病気が分かる
「手を挙げろ!!」と突然言われたらたいていの人はイラストのように肘を90度曲げて手を挙げます。肩関節を90度外転・挙上し、肘関節を90度屈曲した姿勢です。この姿勢をしばらく続けていて手が白くなってきたり、指先が痺れてきたら胸郭出口症候群という状態です。
首の付け根から腕に移行する部分を胸郭出口といいます。ここには動脈や静脈などの血管と頚部脊椎から出た数多くの神経が通っています。更に頚椎や鎖骨、肋骨などの骨があり、骨と骨の間を沢山の筋肉が橋渡ししています。この部分は広い胸郭から細い腕へ色々な構造物が集まってきます。道路が急に狭くなって壁に囲まれてしまったような状態です。筋肉の炎症が起こったり、腕が引っ張られて出口が狭くなると神経や血管が圧迫されて色々な症状が起こります。これが胸郭出口症候群です。胸郭出口症候群では首や肩、腕の痛み、肩凝り、腕のだるさ、手のしびれ、手が冷たいなどの症状がでます。腕を上げていると手先が痺れたり、手が白く冷たくなったりします。電車のつり革を握っていて手がだるくなったりしませんか?
胸郭出口症候群は女性では20-30代、なで肩で首が長く、肩や腕の筋力がない人に多く、そういう人では腕の重さで神経が引っ張られて神経炎を起こして症状がでます。男性では筋肉質で肩や腕の筋肉が緊張していて柔軟性がない人に多く、そういう人では筋肉で神経や血管が圧迫されて神経炎や血行障害が起こり症状がでます。猫背や姿勢の悪い人もなりやすく、仕事でパソコンを長時間使用していると猫背になりますから同様に症状がでます。筋トレもやりすぎるといけません。筋トレ後に十分なストレッチをしないと胸郭出口症候群になります。
診断は手首の親指側の脈を触れながらイラストのようにホールドアップの姿勢をとってもらい、更に胸を広げるように腕全体を後ろへ引っ張ります。その姿勢で手首の脈が触れなくなれば胸郭出口症候群と診断できます。これをWright testと言います。また同様の姿勢でグーパーを3分間続けられるかどうかを見るテストもあります。
症状がひどい場合は消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、ビタミンB12を飲んだり、温熱療法や神経ブロックの注射を行うこともあります。頚肋といい第7頚椎から肋骨がでている場合などは手術で治療する場合もあります。予防のためには首と肩の筋肉を鍛えることとが必要ですし、ストレッチが大切です。肘を曲げた状態で腕を回すストレッチや、首を回すストレッチが有効です。いざというときのホールドアップに耐えられる強い身体を作りましょう。
イラスト by ひろき
首の付け根から腕に移行する部分を胸郭出口といいます。ここには動脈や静脈などの血管と頚部脊椎から出た数多くの神経が通っています。更に頚椎や鎖骨、肋骨などの骨があり、骨と骨の間を沢山の筋肉が橋渡ししています。この部分は広い胸郭から細い腕へ色々な構造物が集まってきます。道路が急に狭くなって壁に囲まれてしまったような状態です。筋肉の炎症が起こったり、腕が引っ張られて出口が狭くなると神経や血管が圧迫されて色々な症状が起こります。これが胸郭出口症候群です。胸郭出口症候群では首や肩、腕の痛み、肩凝り、腕のだるさ、手のしびれ、手が冷たいなどの症状がでます。腕を上げていると手先が痺れたり、手が白く冷たくなったりします。電車のつり革を握っていて手がだるくなったりしませんか?
胸郭出口症候群は女性では20-30代、なで肩で首が長く、肩や腕の筋力がない人に多く、そういう人では腕の重さで神経が引っ張られて神経炎を起こして症状がでます。男性では筋肉質で肩や腕の筋肉が緊張していて柔軟性がない人に多く、そういう人では筋肉で神経や血管が圧迫されて神経炎や血行障害が起こり症状がでます。猫背や姿勢の悪い人もなりやすく、仕事でパソコンを長時間使用していると猫背になりますから同様に症状がでます。筋トレもやりすぎるといけません。筋トレ後に十分なストレッチをしないと胸郭出口症候群になります。
診断は手首の親指側の脈を触れながらイラストのようにホールドアップの姿勢をとってもらい、更に胸を広げるように腕全体を後ろへ引っ張ります。その姿勢で手首の脈が触れなくなれば胸郭出口症候群と診断できます。これをWright testと言います。また同様の姿勢でグーパーを3分間続けられるかどうかを見るテストもあります。
症状がひどい場合は消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、ビタミンB12を飲んだり、温熱療法や神経ブロックの注射を行うこともあります。頚肋といい第7頚椎から肋骨がでている場合などは手術で治療する場合もあります。予防のためには首と肩の筋肉を鍛えることとが必要ですし、ストレッチが大切です。肘を曲げた状態で腕を回すストレッチや、首を回すストレッチが有効です。いざというときのホールドアップに耐えられる強い身体を作りましょう。
2007年09月18日
セカンドオピニオン
最近よく聞きますね。自分の罹っている主治医ではなくて第3者の医師に診断や治療法の意見を聞くものです。ここで間違えてはいけないのはセカンドオピニオンはあくまで意見であり、そこで治療や入院はできないということです。通常主治医から紹介状や検査データをもらって行きます。最近色々な病院でセカンドオピニオン外来というものが開設されています。でも気軽に行くと大変です。セカンドオピニオンは健康保険の適応ではありませんから自費になります。料金も様々である大学病院では1時間4万円のところもありますし30分3千円の病院もあります。よく調べてから行ったほうがいいですね。患者さんにとっては主治医にセカンドオピニオンに行きたいと言い出すのはなかなか難しいものですし、医者によってはあからさまに嫌な顔をする場合もあります。でも今時セカンドオピニオンに嫌な顔をする医者は信用できない医者だと思っていいと思います。自分の病気を治すためですから勇気を出して言ってみましょう。でももう一つ問題があります。どの医者にセカンドオピニオンを聞いたらよいかという問題です。主治医に紹介された医者の場合は主治医と知り合いだったりすると客観的な意見が聞けないかも知れません。マスコミに取り上げられている医者も必ずしも専門ではない場合があります。インターネットで調べたり知り合いの医療関係者に尋ねるといいかもしれません。なかなか難しいものです。
2007年09月03日
希望と絶望
希望と絶望の図(心理図解シリーズ1)
「人はなぜ苦しむのか」と考えたことがありますか。先日長年ホスピスの医師であった小澤竹俊先生の講演を聴いて少し理解できました。ホスピスで命が限られて苦しんでいる多くの人たちと接してきた小澤竹俊先生は「人間の希望と現実のギャップ」が苦しみを生み出すと説明されました。先生は全国の中学生に向けた講演を続けていらっしゃるそうで、なるほど分かり易い表現だなと思いました。
ここで私なりの解釈で希望を理想と言う言葉に置き換えて図に表してみました。
この図をテニスに当てはめて見ましょう。大会の優勝(理想)と実力(現実)はたいていの人でかけ離れています。絶対優勝できる実力を持っている人は稀でしょうし、どんな人でも試合に負けることがあります。それでもどんどん落ち込んで絶望してしまう人と、めげずに希望を持って頑張っている人がいます。その違いは何でしょうか?それは実力の時間的変化に関係していると考えられます。練習や試合で実力はどんどん変わります。そこでこの変化の曲線を微分してみましょう。数学は大嫌いだったから微分と言われても・・・とか微分って何だっけと思われる方も多いと思いますからちょっと説明します。曲線のある点での接線を書いたときにその傾きを求める方法が微分です。
さて元に戻って、実力(現実)の変化曲線を微分すると上に向く場合と下に向く場合があることが分かります。上に向いた矢印であれば希望が沸きます。下向きの矢印になると絶望してしまいます。この関係を希望と絶望の図にしてみました。現実は上を向いたり、下を向いたり刻々と変化します。それにあわせて「ヨシッ!!頑張ろう」と奮起したり、「もう駄目だ」と落ち込んだりするのです。
どうですか、少し自分の心理状態がわかったでしょうか?現実を振り返ると人間は絶望することのほうが多いかもしれません。次はどんなに絶望しても希望を持てる心理を考えて見ましょう。
参考文献:
小澤竹俊著 苦しみの中でも幸せは見つかる 扶桑社 2004年
小澤竹俊著 13歳からの「いのちの授業 大和出版 2006年
「人はなぜ苦しむのか」と考えたことがありますか。先日長年ホスピスの医師であった小澤竹俊先生の講演を聴いて少し理解できました。ホスピスで命が限られて苦しんでいる多くの人たちと接してきた小澤竹俊先生は「人間の希望と現実のギャップ」が苦しみを生み出すと説明されました。先生は全国の中学生に向けた講演を続けていらっしゃるそうで、なるほど分かり易い表現だなと思いました。
ここで私なりの解釈で希望を理想と言う言葉に置き換えて図に表してみました。
この図をテニスに当てはめて見ましょう。大会の優勝(理想)と実力(現実)はたいていの人でかけ離れています。絶対優勝できる実力を持っている人は稀でしょうし、どんな人でも試合に負けることがあります。それでもどんどん落ち込んで絶望してしまう人と、めげずに希望を持って頑張っている人がいます。その違いは何でしょうか?それは実力の時間的変化に関係していると考えられます。練習や試合で実力はどんどん変わります。そこでこの変化の曲線を微分してみましょう。数学は大嫌いだったから微分と言われても・・・とか微分って何だっけと思われる方も多いと思いますからちょっと説明します。曲線のある点での接線を書いたときにその傾きを求める方法が微分です。
さて元に戻って、実力(現実)の変化曲線を微分すると上に向く場合と下に向く場合があることが分かります。上に向いた矢印であれば希望が沸きます。下向きの矢印になると絶望してしまいます。この関係を希望と絶望の図にしてみました。現実は上を向いたり、下を向いたり刻々と変化します。それにあわせて「ヨシッ!!頑張ろう」と奮起したり、「もう駄目だ」と落ち込んだりするのです。
どうですか、少し自分の心理状態がわかったでしょうか?現実を振り返ると人間は絶望することのほうが多いかもしれません。次はどんなに絶望しても希望を持てる心理を考えて見ましょう。
参考文献:
小澤竹俊著 苦しみの中でも幸せは見つかる 扶桑社 2004年
小澤竹俊著 13歳からの「いのちの授業 大和出版 2006年