2007年10月29日
責任の所在
脳外科外来で小中学生の患者さんのご両親から良く頼まれることがあります。体育の授業に出ていいか診断書を書いてほしい、診断書がないと学校が修学旅行に行かせてくれないなどです。薬を飲んでいる場合や飲んでいない場合もありますが、症状はないので特に行動の制限はありません。学校としては体育の授業や、修学旅行で何かあったら学校が責任を取らなくてはいけなくなります。一方医者が診断書を書いて許可すれば今度は医者に責任があるということになります。医学的には抗けいれん剤を飲んでいる場合は車の運転はやめてもらっていますし、水泳も控えるように進めています。そのような場合には明確な内容の診断書を書くことができます。また骨折などで1ヶ月は運動が出来ないような場合はきちんとした診断書を書くことができます。それ以外は自分の調子に合わせて少しずつ慣らして身体を動かすように指導しています。折角楽しみにしている修学旅行をやめるほどの症状ではないのに、診断書の書き方によっては学校は修学旅行に参加させてくれないかもしれません。本人はできるのに、学校やご両親が本人の意に反して体育を休ませたり、修学旅行に行かせなかったりして行動を制限することは良いこととは思えません。ご自分のお子さんですから、ご両親が責任を持つと学校に伝えて行動にあまり制限を加えないほうが懸命だと思うのですがどうでしょうか。
2007年10月22日
友達とメタボリック症候群
今盛んに言われているメタボリック症候群。全国で2000万人くらいが当てはまるそうです。メタボリック症候群の基準は以下のようになっています。貴方はどうですか?
本来は内臓脂肪が多い人が対象なのですが、内臓脂肪は腹部CTをしないときちんと測れません。そこで腹囲を代用として使うことにしたわけです。腹囲といってもズボンのウエストではありません。おへそのところかお腹で一番出っ張ったところを測ってください。
メタボリック症候群だと心筋梗塞になる危険が約3倍、糖尿病になる危険が5-10倍あるそうです。若いうちからこれを意識して肥満、生活習慣を改善することで個人の健康を維持し、さらに日本人の使う国民総医療費を削減できるというわけです。
ポイントは肥満に加え今までは病気と言わなかった正常上限レベルの項目が2つ以上あれば病気予備軍として扱うといことです。
最近ハーバード大学から面白いデータが発表されました。配偶者が肥満だとそうでない人に比べて肥満になる確率が37%も増えるそうです。夫婦の場合は食生活が同じですから理解できます。夫婦になるとなんとなく印象が同じように見えてくるのもこれが一因ではないでしょうか。でも更に驚くことに友達が肥満の人はその人が遠く離れていても肥満になる確率が57%も増えるのだそうです。男性の友人同士だと100%増加しますが、女性同士だと38%、異性では相関関係はないそうです。肥満になりたくなければ配偶者と同性の友達をちゃんと選べということです。でも離れた友達も肥満に影響するとは何と不思議なことでしょう。同様の姿をみることで安心するのでしょうか?人間の心理と身体の関係は奥深いものがありますね。
こうなるとテニス仲間も選ばないといけませんね。そういえば私が太ったのもAという太った友達ができた頃だったような気もします。皆さんも誰かのせいにするのは簡単ですが、決してその人のせいだとか思ってはいけません。あなた自身の責任を忘れないでください。
腹囲(必須) 男性85cm以上 女性90cm以上
以下のうち二つ以上
1.血圧>135/85mmHg
2.中性脂肪(TG)が150mg/dl 以上もしくは善玉コレステロール(HDLC)が40mg/dl以下
3.空腹時血糖 110mg/dl以上
以下のうち二つ以上
1.血圧>135/85mmHg
2.中性脂肪(TG)が150mg/dl 以上もしくは善玉コレステロール(HDLC)が40mg/dl以下
3.空腹時血糖 110mg/dl以上
本来は内臓脂肪が多い人が対象なのですが、内臓脂肪は腹部CTをしないときちんと測れません。そこで腹囲を代用として使うことにしたわけです。腹囲といってもズボンのウエストではありません。おへそのところかお腹で一番出っ張ったところを測ってください。
メタボリック症候群だと心筋梗塞になる危険が約3倍、糖尿病になる危険が5-10倍あるそうです。若いうちからこれを意識して肥満、生活習慣を改善することで個人の健康を維持し、さらに日本人の使う国民総医療費を削減できるというわけです。
ポイントは肥満に加え今までは病気と言わなかった正常上限レベルの項目が2つ以上あれば病気予備軍として扱うといことです。
最近ハーバード大学から面白いデータが発表されました。配偶者が肥満だとそうでない人に比べて肥満になる確率が37%も増えるそうです。夫婦の場合は食生活が同じですから理解できます。夫婦になるとなんとなく印象が同じように見えてくるのもこれが一因ではないでしょうか。でも更に驚くことに友達が肥満の人はその人が遠く離れていても肥満になる確率が57%も増えるのだそうです。男性の友人同士だと100%増加しますが、女性同士だと38%、異性では相関関係はないそうです。肥満になりたくなければ配偶者と同性の友達をちゃんと選べということです。でも離れた友達も肥満に影響するとは何と不思議なことでしょう。同様の姿をみることで安心するのでしょうか?人間の心理と身体の関係は奥深いものがありますね。
イラスト by ひろき
こうなるとテニス仲間も選ばないといけませんね。そういえば私が太ったのもAという太った友達ができた頃だったような気もします。皆さんも誰かのせいにするのは簡単ですが、決してその人のせいだとか思ってはいけません。あなた自身の責任を忘れないでください。
2007年10月01日
医者の特権
皆さん医者の一番の特権は何だと思いますか?高収入とか、仕事がちょっとカッコよさそうというのは違います。そういう人もいますが、私の周りの勤務医たちはたいてい金持ちではないし、仕事も大忙しでなりふり構わずに頑張っています。それでは医師の特権とは何でしょう?普通の人は刃物で人を切りつけると犯罪です。でも医師は違います。手術や検査で人を切りつけますし、点滴で針を刺します。それから医師は麻薬や睡眠薬を使うことができます。これも医師でない人が使えば犯罪です。こうやって見ていくと医師は通常だったら犯罪になる行為を行っても良いという特権を持っていることが分かります。前にも書きましたが病院は善人の集まりでなければ成り立ちません。悪意のある人が病院で働いていたら犯罪と気付かれずに完全犯罪を実行することができます。現場の医師たちはこのことをしっかり認識し、自分たちが持っている特権は本当に必要なときに正しく使われるべきだと肝に銘じて治療に当たる必要があります。