2007年12月10日
ドーピングの話
皆さんご存知だと思いますが、マルチナ・ヒンギスが2007年ウインブルドン大会のドーピング検査でコカインに陽性反応を示したために、引退しました。本人は使用を完全に否定していますが、「今後の人生をドーピング取締り機関と係争するため何年も無駄にしたくない」とコメントしています。最近では陸上で有名なマリオンジョーンズが薬物使用で金メダルを剥奪されました。ドーピングの話はびっくりすることや不思議なことばかりです。そこで私の知り合いで、オリンピックのボート競技でチームドクターだった日浦幹夫先生(法政大学人間環境学部)にドーピングの怖さを書いてもらいました。
「ドーピング」の解釈は結構複雑。ありふれた点滴ひとつでも用心が必要です。
ドーピングと聞くと、真っ先に思いつくのが筋肉増強剤、男性ホルモン剤、興奮剤などの禁止薬物だと思いますが、そればかりではありません。点滴は治療目的以外は禁止ですし、血液ドーピングと呼ばれる輸血や遺伝子操作も禁止です。
2007年8月末にドイツ行われたボート競技の世界選手権で、ロシア選手3人がドーピング違反のため出場停止となりました。その経緯を説明します。今年の7月にスイスのルツエルン(とても美しい観光地です)で行われたワールドカップ期間中に、ロシアチームの泊まったホテルのそばのゴミ箱から、薬物と静脈注射用の医療器具が入ったバッグが見つかりました。そのバッグはただちに世界アンチドーピング機構:WADA( World Anti Doping Agency ) の検査機関に運ばれて禁止薬物が発見されました。8月にボート競技の国際連盟は、ロシア選手に対していわゆる抜き打ち検査(競技外検査)を行い、また全てのロシア選手に血液検体を供与するように指示を出しました。ちなみにこのような場合は血液検体供与を拒否するだけでドーピング違反になります。結果は禁止物質や血液ドーピング、EPO(造血ホルモン剤)の注射等の証拠は認められませんでした。当局はそれでもあきらめず、全てのロシア選手の血液検体と、疑惑の器具に付着した血液のDNA検査を照合した結果、3人のロシア選手の名前が判明しました。医師の指示ではなく医学的に正当性のない静脈注射をしたことを認めたので選手はドーピング違反で出場禁止となりました。
さて、この「医学的に正当性のない静脈注射」ですが、日本でも人気のあるJリーグ選手で同様の話題がありました。ご記憶にある方も多いと思います。この選手に行われた静脈注射は「医学的な正当性がない」と判断され、ドーピング違反でペナルティーが課されました。これに対して、担当したチームドクターは「医学的に正当性がある」と主張、反論してペナルティー撤回を要求したそうです。この事例から感じたことは、「静脈注射の医学的な正当性」を判断することは難しいということです。医師の関与がなかったロシア選手の事例と、医師の関与があったJリーガーの事例は同列には語れませんが、いずれの事例でも選手が静脈注射に関するドーピング規定を知らなかった、あるいは規程を無視したために生じた問題です。そこで重大になってくるのが、スポーツ選手のケアをしている医師の認識と対応です。もしも医師が間違えたためにドーピング違反が生じたとしたら、ペナルティーを負うのは選手であり、社会問題に発展してしまいます。風邪薬一つでも慎重にしなければなりません。
余計な心配かもしれませんが、スポーツ選手の皆さんが薬の処方や点滴を受ける場合は、自分も良く勉強し、医師ともよく相談し、慎重な行動を取りましょう。
法政大学 人間環境学部 日浦幹夫
「ドーピング」の解釈は結構複雑。ありふれた点滴ひとつでも用心が必要です。
ドーピングと聞くと、真っ先に思いつくのが筋肉増強剤、男性ホルモン剤、興奮剤などの禁止薬物だと思いますが、そればかりではありません。点滴は治療目的以外は禁止ですし、血液ドーピングと呼ばれる輸血や遺伝子操作も禁止です。
イラスト byひろき
2007年8月末にドイツ行われたボート競技の世界選手権で、ロシア選手3人がドーピング違反のため出場停止となりました。その経緯を説明します。今年の7月にスイスのルツエルン(とても美しい観光地です)で行われたワールドカップ期間中に、ロシアチームの泊まったホテルのそばのゴミ箱から、薬物と静脈注射用の医療器具が入ったバッグが見つかりました。そのバッグはただちに世界アンチドーピング機構:WADA( World Anti Doping Agency ) の検査機関に運ばれて禁止薬物が発見されました。8月にボート競技の国際連盟は、ロシア選手に対していわゆる抜き打ち検査(競技外検査)を行い、また全てのロシア選手に血液検体を供与するように指示を出しました。ちなみにこのような場合は血液検体供与を拒否するだけでドーピング違反になります。結果は禁止物質や血液ドーピング、EPO(造血ホルモン剤)の注射等の証拠は認められませんでした。当局はそれでもあきらめず、全てのロシア選手の血液検体と、疑惑の器具に付着した血液のDNA検査を照合した結果、3人のロシア選手の名前が判明しました。医師の指示ではなく医学的に正当性のない静脈注射をしたことを認めたので選手はドーピング違反で出場禁止となりました。
さて、この「医学的に正当性のない静脈注射」ですが、日本でも人気のあるJリーグ選手で同様の話題がありました。ご記憶にある方も多いと思います。この選手に行われた静脈注射は「医学的な正当性がない」と判断され、ドーピング違反でペナルティーが課されました。これに対して、担当したチームドクターは「医学的に正当性がある」と主張、反論してペナルティー撤回を要求したそうです。この事例から感じたことは、「静脈注射の医学的な正当性」を判断することは難しいということです。医師の関与がなかったロシア選手の事例と、医師の関与があったJリーガーの事例は同列には語れませんが、いずれの事例でも選手が静脈注射に関するドーピング規定を知らなかった、あるいは規程を無視したために生じた問題です。そこで重大になってくるのが、スポーツ選手のケアをしている医師の認識と対応です。もしも医師が間違えたためにドーピング違反が生じたとしたら、ペナルティーを負うのは選手であり、社会問題に発展してしまいます。風邪薬一つでも慎重にしなければなりません。
余計な心配かもしれませんが、スポーツ選手の皆さんが薬の処方や点滴を受ける場合は、自分も良く勉強し、医師ともよく相談し、慎重な行動を取りましょう。
法政大学 人間環境学部 日浦幹夫
と疑いたくなるほどの、ときとして長時間OPEや激務の勤務がありますが・・・
精神力、体力は日頃の鍛錬 たま物ですね。
どうしたらその精神力・集中力・体力が維持できるのでしょうか?
ご伝授お願いいたします。
精神力、体力は日頃の鍛錬 たま物ですね。
どうしたらその精神力・集中力・体力が維持できるのでしょうか?
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