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鈴木龍太のラケットを握った外科医


鈴木龍太プロフィール
医師 専門は脳神経外科
テニスは日曜のテニススクール歴4年ですが進歩なし、ダイエット効果もなし。
tennis365.netでコラム「ラケットを握った外科医」連載
http://www.webdoctor.ne.jp で「外科医の独り言」連載
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肩の痛みに効く胃薬

皆さん肩が痛くなったり、一寸でも動かすと痛くて動かなくなってしまったりしたことはありませんか?だんだん肩が痛くなってくるのは良く言う四十肩、五十肩といわれるものが多く、肩関節周囲炎といわれる病気です。肩はくるくる回したり、上へ上げたり身体の中で動かす範囲が最も多い関節です。図のように肩は骨や筋肉、腱が複雑に絡み合っています。肩関節を上にあげる時に肩峰下滑液包(けんぽうかかつえきほう)や腱板などの動きが障害され、骨頭の動きが制限されて痛みを生じます。

肩関節周囲炎


図:WebDoctor (http://member.webdoctor.ne.jp) より。

でも急に症状がでて痛くて肩が動かない場合はもう少し進んだ状態です。こういったときに肩のレントゲン写真を撮ると、肩の腱板のところに白い石灰化が見つかることがあります。 レントゲン写真では分かりにくいですが黄色い矢印の先が石灰化です。

石灰化


図:肩のレントゲン写真。向かって右が治療前の石灰化(分かりにくいですが矢印の先の薄くモヤモヤとしたものです)、左が治療後に石灰化が消えたところ。

このように肩の腱板に石灰化が見られるものを石灰沈着性腱板炎といいます。突然、原因もなく、激しい肩の痛みがでます。痛みのために肩と腕が動かせなくなって、腕を胸に固定した状態で苦しそうな顔をしています。このような場合はまず石灰沈着性腱板炎だと診断できますから、レントゲンで石灰化を確認します。肩を動かすときに腱板が挟まれて炎症を起こし、次第に石灰化をきたしたものです。治療はまず痛みを抑えることです。痛みをすぐに取って欲しければ局所麻酔薬を肩の痛いところに打ちます。鎮痛剤や湿布も使います。安静にしていると石灰化が消える場合もありますが、固まってしまうと中々消えません。石灰化があれば、炎症を起こし易いので再発します。

ではどうしたらいいのでしょう。一つ手があります。不思議なことにこの石灰化を消すのにTという胃薬が効くのです。朝夕一錠ずつ3週間飲むと、6,70%の例でこの石灰化が消えます。全例ではありませんし、時間がたった例はだめです。ですから発症早期に飲まなければいけません。うそみたいな話ですが学会でも報告されています。でもTの効能書きには石灰沈着性腱板炎に効くとは書いていませんし、あまり一般的に使われていません。ですから石灰沈着性腱板炎になったときには鎮痛剤と一緒に胃薬ももらうようにしましょう。
コラム | 投稿者 鈴木龍太 22:02 | コメント(86) | トラックバック(0)
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